My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
彼はラグの額に指をあて、囁くように言う。
「ラグ、もう起きる時間だよ」
皆固唾をのんでそれを見守り、その頭に乗ったブゥも心配そうに相棒を見下ろしていた。
間もなくして、微かにその眉が動いたのがわかった。
「う……」
「ラグ!」
小さく呻いたラグからエルネストさんが離れて、アルさんがもう一度その肩を揺する。
ゆっくりとその青い瞳が開いていき、ブゥが嬉しそうにその頭上で一回転した。
「アル……?」
ぼんやりと彼がアルさんの名を呼ぶ。アルさんがほっと息を吐いて。
「なんでお前が……ここは……?」
頭を押さえながら視線を巡らせて、その瞳がエルネストさんを捉えて大きく見開かれた。
「て、めぇ……っ!」