My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「さっき、マルテラさんたちに歌ってるとこ見られちゃって、それで記憶を消す歌を歌ったんだよね。そのときに、うっかり近くにいたラグの記憶も一緒に消しちゃったんだと思う。だから、ラグは何も悪くないの」
「……本当に、うっかりかい?」
エルネストさんが全て見透かしたような目で私を見ていてどきりとする。
「だったら! 歌でまた記憶を取り戻すことだって出来るだろう? なぁ、カノンちゃん」
ぎこちない笑顔で言ったアルさんに、私は首を横に振る。
「いいんです、このままで。私はもうこの世界からいなくなるし、ラグに私の記憶はいらないかなって」
「そんなこと……」