My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「ありがとうございます。少し気持ちが軽くなりました」
ラグも、7年前の真実を知って、同じように少しでも気持ちが軽くなればいいと思った。
ドカっと鈍い音がしたのはそのときだった。
振り向くとラグが頬を押さえよろめいていて、その前でグリスノートが握った拳を震わせていた。ブゥとグレイスが驚いたように彼らの上を旋回していて。
「――ってぇな、何すんだ!」
「これでも思い出さねぇかよ」
「グリスノート!?」
慌てて駆け寄るが、グリスノートはこちらを振り返りもせず怒りに歪んだ顔で続けた。
「カノンを、このまま行かせちまっていいのかよ!」
「だから、なんのことだよ!!」
「ラグ!」
殴り返そうとしたその手をアルさんが止める。