My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
5.嵐
セリーンに支えられるようにして私は寝室へと入った。
こんな顔ではリディに会いづらくてセリーンが一先ず寝室へと連れてきてくれたのだ。
途中何人かとすれ違ったけれどセリーンがまた少し酔ってしまったようだと軽く誤魔化してくれた。
「リディを連れてすぐに戻る。私が出たらすぐに鍵をかけるんだぞ」
「うん。ありがとう」
なんとか笑顔でお礼を言うと、セリーンは優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。
彼女が寝室を出て行って鍵をかけてから私は小さく息を吐いた。
「なに泣いてんだろ、私」
ハンモックに腰掛けてそのままゆっくりと横になる。
(ラグに、帰れなくてもって言われたことがショックだった……?)
私は元いた世界に帰るために旅をしていて、それをラグは知っているはずなのに。
(あんな言い方しなくてもいいのに)
また涙が滲んできてしまって困った。