My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
鳥が歌い 綿毛が舞う
人が歌い、愛を紡ぐ
ここが楽園
ブゥとグレイスがそれぞれの相棒から飛び立って、湖の上を踊るように舞い始める。
グレイスの鳴き声が高く響き渡り目を閉じると、そこは再び森の中だった。きっとレーネの森だ。
深く森の中へ入っていくと、ふわふわとたくさんの綿毛が舞っている場所を見つけた。ブゥの仲間たちだ……!
ブゥは最後の生き残りなどではなかった。ちゃんと、ここでこうして命を繋いでいたのだ。
――ラグ、見えてる……?
久しぶりの歌にはしゃぐように可愛らしく舞う姿は“天使”そのもので。
そこへどこからか小鳥の群れがやってきて、美しく澄んだ声で歌い始めた。
幻想的なその風景は、まさに“楽園”と呼ぶにふさわしかった。
「ありがとう、カノン」
エルネストさんの優しい声が響いて、次に目を開けた時にはもう彼の姿はどこにもなかった。
でも彼はきっとこの世界のどこかにいるのだとわかるから、悲しくはない。
――あとは、私が帰る歌を歌うだけだ。