My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「持っていたら見るたびに思い出しちゃいそうで」
あははと苦笑しながら手渡すと、セリーンは私を優しく抱きしめてくれた。
「お前は、本当に……っ」
彼女が泣いているのが伝わってきて、こちらもまた泣けてきてしまった。
その背中に手を回してお礼を言う。
「セリーン、ありがとう。セリーンがいてくれて本当に良かった。ずっと守ってくれて本当にありがとう」
「私こそだ。カノンとの旅は刺激的でとても楽しかったぞ。お前のことは可愛い妹だと思っているからな」
そんな彼女にこっそり耳打ちする。
「ねぇ、セリーン。アルさんのこと、少しは考えてあげてね」
「愛しの子にも会えなくなってしまったんだぞ。しばらく別の男のことなど考えられん」
そんな相変わらずの彼女に、悪いと思いつつもつい笑ってしまった。