My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
と、そこへグリスノートが改まった様子で進み出てぎくりとする。
「やっぱ俺の嫁はカノン、お前しかいねぇ。この間の返事、改めて聞かせてくれ」
「ごめんなさい!」
勢いよく頭を下げると、グリスノートはがっくりと頭を垂れた。
「……でも、ありがとう。気持ちはすごく嬉しかった」
彼は初めてこんな私のことを好きと言ってくれた人だ。
でも、この世界が歌で溢れたら、もっと彼にふさわしい人が近くにいることに気づくはずだから。
「リディとアヴェイラによろしくね」
「なんでアヴェイラの奴まで……」
「アヴェイラの歌、凄かったでしょ? あんな綺麗な歌声、なかなか聞けないんだから」
「……まぁな」
そう言って顔を上げた彼の肩をアルさんが同情するようにぽんぽんと叩く。