My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
エピローグ
3月。季節はもう春だけれど、まだまだ肌寒さが残る頃。
でも今日は朝からぽかぽか日和で、買ったばかりの春コートを羽織って私は家を出た。
どこからか桜の花びらがふわふわと舞い降りてきて、瞬間あの子の幻影を見た気がした。
――あの旅から、そろそろ一年が過ぎようとしている。
今では、あれは全部夢だったのではないかと思う時がある。
でも、あの旅のお蔭で私には新たな夢が出来ていた。その夢に向かって今は勉強の毎日を送っている。
一年前、私はあの世界のことを響ちゃんと両親にだけ話した。
帰ってきてすぐ念のためにと数日入院することになった私の元へお見舞いに来てくれた響ちゃんは、興味津々で私の話を聞いてくれた。