My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「華音!」
「響ちゃん」
駅前の待ち合わせ場所で手を振る響ちゃんの元へ私は駆け寄る。
今日は響ちゃんとの約束の日。
彼は今日私たちの母校である小学校でピアノの演奏会をするそうで、一緒に行かないかと誘ってくれたのだ。私は喜んでOKした。
響ちゃんは音大に通いながら国内外の様々なピアノコンクールで優秀な成績を収めていて、今や知る人ぞ知る有名人。やっぱり私にとって自慢の幼馴染だ。
「響ちゃんの生演奏聴くの久しぶりだなぁ」
小学校への通学路を歩きながら言う。
「そうだっけ?」
「そうだよ。あ、でも、あの世界で……」
言いかけて口を閉じる。