My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
一年が経った今でも、あの時のことを思い出すとちくりと胸が痛む。
悪い思い出ではないはずなのに……。
(皆、元気してるかな)
「華音?」
「え? あ、ごめん。だから今日はすごく楽しみにしてたんだ!」
響ちゃんは笑顔で続ける。
「前にさ、新しい曲が出来たらまた華音に歌って欲しいって言ってただろう?」
「う、うん」
覚えていてくれたんだと嬉しくなる。
「今日はそれも披露したいんだ。歌詞は華音に任せるからさ」
いつもそうだった。響ちゃんが作った曲に私は勝手に歌詞をつけて歌っていたのだ。
「わかった」
私は笑顔で頷いた。