My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
久しぶりに入る母校は何もかもが懐かしかった。
演奏会までまだ時間があるということで、許可をもらって私たちは音楽室に入らせてもらった。
「うわぁ、懐かしい~! こんなだったっけ。机も椅子も小っちゃっ!」
ついはしゃいでいると、ポロロンっとピアノの音が響いた。
響ちゃんが早速グランドピアノの椅子に腰を下ろしていた。
「昔もさ、響ちゃんよくここで弾いてたよね。休み時間とかに」
「で、華音はそれに合わせて歌ってくれてた」
「うん、そうだった」
響ちゃんがあの頃よりもずっと大きくなった手で楽しそうに演奏を始める。どこかで聞いたことのある曲だ。タイトルまではわからないけれど。
「あの頃から俺、華音の歌声が大好きだったからさ、華音が音楽の道に進むって決めてくれてめちゃくちゃ嬉しいんだよね」