My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「これじゃあ今日は火は使えないわね。大丈夫かしら、兄貴たち」
リディが言ったその時だ。
コンコンとドアを叩く音がして、すぐに声がした。
「大丈夫っスかー! ちょっとヤベェ嵐が来ちゃったんで、抜けるまでそこで待機してろって船長の命令っス!」
「わかった!」
コードさんのいつもよりも切羽詰まった声にセリーンが大きな声で答える。
(嵐……)
これまで遭わずに来れたのに。こんなに揺れて、この船は大丈夫なのだろうか。
「大丈夫なの!?」
リディが私の気持ちを代弁するように叫んだ。
「なんか、ラグが術でどうにかするって上がってったんで多分大丈夫なはずっスよ!」
ラグが、術で……?
「んじゃ、俺も加勢に行ってくるんで!」
「気を付けて!」
「うぃーっス!」
足音と共にその声が遠のいていった。