My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「グリスノートは、あんたが銀のセイレーンだと知っていて嫁にしたのかい?」
「違っ!」
思わず声を上げていたが、すぐ目の前に剣先があった。
「歌ったら、わかってるね?」
こくこくと頷く。
「お頭ぁ、大丈夫なんですかい……?」
そのとき不安げな声が上がった。
「あぁ?」
「だって、その女、あの銀のセイレーンなんすよね……?」
怯えたような海賊たち。久しぶりに目の当たりにしたその反応に小さく胸が痛む。……あのままグリスノートたちの船に戻っていても同じだっただろうか。
だがアヴェイラはスっと立ち上がると急に彼らに向かって怒鳴り声を上げた。
「だからなんだってんだい! あたしだって同じ術士だよ!!」
「す、すいやせん!!」
海賊たちが一斉に頭を下げると彼女はフンと鼻を鳴らし再びしゃがみ込んだ。
「あたしはね、あんたを恐れたりしないよ」
彼女の意外な言葉に驚いていると。
「ただ、なんのためにあのグリスノートをたぶらかしたのかと思ってねぇ」
その顔に怒りの感情が覗いて、私は焦ってぶんぶんと首を振った。
「違います! たぶらかしてなんか……私、嫁なんかじゃないです!」
「へぇ?」