My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
7.思わぬ話
数人の海賊たちに剣を突き付けられながら、私はアヴェイラの後をついて船内を歩いていた。
下手な真似をしたら刺されると思うと恐ろしくてたまらなかった。
(いざとなったら、鼻歌で逃げるしかないけど……)
同じようにフィエールに口を塞がれて捕まったとき、ハミングでも効果が出たのだ。しかし、効果が出る前にこの剣で刺されてしまったらおしまいだ。そう思ったら何も出来なかった。
用が済んだら帰してやる。そう言ったアヴェイラ。今は彼女のその言葉を信じるしかない。
それに、フィルくんがこの船内のどこかにいる。いくら元仲間の船だとしても逃げるときは絶対にフィルくんも一緒に連れて帰りたい。
そうひとり頭を巡らせていると、前を歩いていたアヴェイラが扉の前で足を止めた。グリスノートの船と同じ構造なら、多分船長室。