My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
船長室――彼女の部屋は思った以上に可愛かった。というかベッドシーツやカーテンなど旗と同じピンク色のものが多くてなんだか目がチカチカした。
「まずは服だね」
「?」
彼女が私の全身を見てから言った。
「あたしの服で問題なさそうだな。ちょっと待ってろ」
すると彼女は私に背を向け、これまた可愛らしい装飾のついたクローゼットの扉を開けた。
(ひょっとして、服を貸してくれるの……?)
緊張の中ですっかり忘れていたが、先ほどの豪雨と海に落ちたせいで全身ずぶ濡れ状態だ。
途端ぶるっと身体に震えが走り、マズイと思ったときには遅かった。
「――ぶフッ!」
口も鼻まで塞がれているせいで変なくしゃみが出てしまい、驚いたようにアヴェイラがこちらを振り向いた。