My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「あたしたちと、なんにも変わらないんだねぇ」
裸同然の身体を興味深く見られて、どうにも落ち着かずに身を縮める。
「あ、あの、あまり見ないでください」
「あぁ、悪いね」
アヴェイラはすぐに向こうを向いてくれて、私はその間にささっと着替えてしまった。
「ありがとうございます」
改めてお礼を言うと彼女はこちらに向き直り満足げに一度頷いた。
「それじゃ、本題だけどね」
睨むように見上げられてごくりと喉が鳴る。
――海賊であり術士でもある彼女が、銀のセイレーンである私に話とは一体何だろう。
「頼む!」
パンっ! と、いきなり彼女が顔の前で手を叩いてびっくりする。そして。
「あたしに、歌を教えてくれないか……?」
「はい?」
ほんのり頬を赤く染めたアヴェイラに上目遣いで見つめられ、そんな気の抜けた返事をしてしまった私は何も悪くないと思う。