My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「絶対歌えます! だってアヴェイラさん、すごく良い声してますもん!」
あんな高笑いが出来るのだ。歌えないはずがない。
「そ、そうかい?」
「はい! グリスノートの前で歌って、彼をびっくりさせましょう!」
ぐっと拳を握って言うと彼女は勢いよくベッドから立ち上がって私の両手を取った。
「恩に着るよ、銀のセイレーン! よろしく頼む!」
そのはしゃいだような笑顔は同じ年頃の普通の女の子のもので、とても可愛かった。
「あ、私のことは華音って呼んでもらえたら嬉しいです」
「カノン! わかった。あたしのことも好きに呼んでくれよ」
「じゃあ、アヴェイラ!」
そう呼ぶとアヴェイラはうんうんと頷いた。
「いやー、思った通りあんたがいい奴で良かったよ! 伝説通りのおっかない奴だったらどうしてやろうと思ったけどさ!」
それを聞いてちょっとだけ笑顔が引きつった。……どうされていたのだろうか。
でも私もいざとなったら歌でなんとかしようと思っていたのだ。そこはお互い様だろう。