My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
――ただ気がかりなのは、ラグとセリーンがきっと心配してくれているだろうということ。
なんとかして今のこの状況を伝えたいけれど、連絡手段がなにもない。
(……ラグは、心配っていうかまた勝手なことをって怒ってそうだけど)
でも私が歌わなかったらフィルくんが危なかったのだ。
「あ、フィルくんは」
「フィルのことなら心配いらないよ。顔見知りの奴らばかりだからね。きっとすぐに回復するさ」
それを聞いてほっと胸を撫でおろす。
「てぇか、なんだってフィルはあんな……海に落ちたのかい?」
「そう、さっきの嵐でいつの間にかフィルくんがいないってなって、捜すために歌で飛んでて」
「そしたら、あたしに回収されたってわけか」
「そ、そう」
苦笑しながら頷くと、彼女は興奮した様子で続けた。