My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「いや驚いたよ。様子を見に行ったら歌が聞こえてきて銀の髪のあんたが空を飛んでるんだからさ。……そういえば、今は銀じゃないんだね」
「あ、歌う時だけみたいで」
「へぇ、そうなのかい。うん、やっぱりあんたいい奴だね! ま、術士に悪い奴がいるわけないけどな!」
そうして誇らしげに笑った彼女に、私は思い切ってお願いしてみることにした。
「あの、歌が歌えるようになったら、フィルくんと一緒に私をヴォーリア大陸まで送ってもらえませんか?」
ラグたちがヴォーリア大陸に向かっているのは間違いない。そして目的地もわかっている。そこを目指していけばきっとどこかで合流出来るはずだ。――と、そう思ったのだが、アヴェイラはきょとんとした顔で言った。
「送るもなにも、今向かってるあたしたちのアジトがヴォーリア大陸にあるんだ。だから問題ないよ!」
「そ、そうなんだ」
――良かった。乗る船は違えど、一先ずヴォーリア大陸には辿り着けそうだ。
「んふふっ、待っていろグリスノート! 次会ったらあんたのアホ面とくと拝んでやるからねー! よ~っほほほほ!!」
そうしてアヴェイラは機嫌良さそうにまたあの高笑いを船長室に響かせた。