My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「あたしがグレイスを真似ていたら、この船を幽霊船だなんだと言う輩が出てきてね。ほんと失礼な話さ」
それを聞いて笑顔が引きつる。
――船旅をはじめてすぐの頃に聞いた幽霊船の噂話。
(確か、女の歌声が聞こえてくるって……もしかしてそれって)
「そういや、あたしが歌を使えるようになったら、あたしもセイレーンってことになるのかい?」
「え? えっと……」
急にそんなことを訊かれて困惑する。
私はいつかラグが話していた術士とセイレーンとの違いを記憶の中から引っ張り出しながら答えていく。
「確か、術士は万物の力を借りて使うけど、セイレーンは自分の力を歌にするって……だから、私立てなくなっちゃったこともあって」