My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「あんな強力な術は初めて見たよ。お陰で随分ふっ飛ばされちまった。まぁ転覆はしないで済んだけどね」
答えに詰まる。……ラグのことを、アヴェイラに話して大丈夫だろうか。
(でも、術士に悪い奴はいないって言ってるし……でも)
アヴェイラがすぐに答えない私を見て不思議そうな顔をして、思い切って訊いてみることにする。
「アヴェイラは術士に悪い奴はいないって言ってたけど」
するとアヴェイラは誇らしげに胸を張った。
「あぁ、術士ってのは万物に好かれる存在だからね。悪い奴がいるわけがないんだ」
それを聞いてほっとする。
「――けど、一人だけ、どうしても許せない術士はいるね」