My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「やめな!」
アヴェイラが私を庇うように前に出てくれた。
「お頭!?」
「……本当に、すぐに気が付くんだね?」
振り向いた彼女に訊かれ私は何度も強く頷く。ブゥの攻撃は気絶するだけだ。
しかしその男はまだ不服そうな顔で続けた。
「だがよ、お頭。モンスターが仲間って、やっぱりこの女危険なんじゃないですかい?」
「もしそうだったら、あたしがちゃんと始末をつけるよ。――何か文句あるかい?」
そうアヴェイラがひと睨みすると、男はやっと口を噤んだ。
「わかったなら持ち場に戻りな!」
「あっ、お頭ー!」
そのとき奥の方で別の海賊がこちらに手を振っているのが見えた。
「フィルの奴が目を覚ましましたー!」
(フィルくんが……!?)
アヴェイラがもう一度私を振り向いた。
「行ってみるかい?」
私は大きく頷く。
彼女はすぐにそちらに足を向け後をついていくが、その場にいた海賊たちが皆私のことを睨みつけていて気が気ではなかった。――やはり、まだこの船内は私にとって安心できる場ではないのだと思い知らされる。