My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

9.手紙


「気にすることないよ」
「え?」

 先ほどのおじさんにフィルくんを任せて船長室に戻っている途中、前を行くアヴェイラがこちらを振り向かずに言った。

「あんたはフィルを助けたんだ。良いことをしたんだから胸を張りな」

 それを聞いて目を瞬く。

(もしかして、励ましてくれてるのかな)

 私は笑顔でお礼を言う。

「うん。ありがとう」

 ――ひょっとしたら、術士であるアヴェイラにも同じような経験があるのかもしれない。
 その真っ直ぐに伸びた背中が、ふいにラグと重なって見えた。
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