My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「ぶぅぶーぅっ」
アヴェイラと共に船長室に戻ってすぐ、ブゥが私の目の前で後ろ向きになってくるくると回った。
「どうしたの……あれ?」
ブゥの尻尾の付け根近くに何か小さな紙が結び付けられていることに気づく。
(手紙?)
ドキドキとしながら尻尾からその紙を優しく外していく。
「なんだい?」
くしゃくしゃになってしまったその紙を広げていると、アヴェイラが私の手元を覗き込んできた。
「多分、仲間たちからの手紙だと……?」
そこにはどこかで見たことのあるような文字かマークが小さく描かれていた。でもどこで見たのか思い出せずその紙を回転させながら首をひねっているとアヴェイラが口を開いた。
「こりゃ、港のマークだね」
「港の?」
言われてみればヴァロール港で見たことがあるような気がしてきた。
「港に来いってことじゃないのかい?」
「!」
顔を上げてブゥを見ると彼は「大正解!」と言わんばかりにもう一度くるりと空中に大きな丸を描いた。