My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「これで、どこの港かわかる?」
訊くとアヴェイラは肩をすくめた。
「これだけじゃあねぇ。マークなんかじゃなくて場所を書いてくれりゃいいのにさ」
「あ、多分私が文字が読めないから……」
「あぁ、そうなのかい」
もっとちゃんとグリスノートたちの話を聞いていれば良かったと今更ながら後悔する。
(あ、フィルくんなら知ってるかも……だけど)
先ほどの怯えた目を思い出して、私はもう一度アヴェイラに訊ねた。
「レーネに一番近い港ってどこかな?」
ラグたちの目的はブゥの故郷であるレーネ近くの森があった場所。きっと最寄りの港だろう。
「え? あー、レーネに一番近い港ってぇとアピアチェーレの港になるが……なんだい、よりによってレーネに用があるのかい?」
少し不快そうにその眉が顰められた。