My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
――そうだ。つい先ほどラグの話をしていたのだった。
「あ、レーネっていうか、レーネの近くに用があって……」
やはりレーネの名を出したのは不味かっただろうかと内心焦っていると。
「ん? てぇことは、グリスノートの奴もアピアチェーレの港に向かうってことだね!?」
急に耳元で大きな声を出されてびっくりする。ブゥも驚いたのか私の頭から持っていた手紙に転げ落ちてきた。
「た、多分、そうだと」
「よし、カノン。アジトには戻らずこのままアピアチェーレの港であいつを迎え撃つぞ!」
(迎え撃つって……)
興奮した様子のアヴェイラに心の中で苦笑する。
歌の練習はまだ始めたばかりだが、もしかしたら早く聴いて欲しくてたまらないのかもしれない。