My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
それからアヴェイラは仲間たちにこのことを伝えてくると船長室を出て行った。
ふぅと息を吐いてベッドに腰掛ける。
……そういえば、仲間たちはアヴェイラの気持ちを知っているのだろうか。
(あんなにわかりやすいし、知らないはずはないか)
彼らが行き先の変更を了承してくれればいいと思いながら、ふと自分の手が小刻みに震えていることに気づく。
ひとりになって少し気が抜けてしまったみたいだ。思い出したように全身がカタカタと震えだして、そんな自分をぎゅうっと強く抱きしめる。
――ひとつ間違えば命を落としていた。
これまでにもそんな場面はいくつもあった。けれど決定的な違いはやはり今ここにラグもセリーンもいないことだ。
ブゥが来てくれなければ、気が抜けたこの瞬間不安で泣き出していたかもしれない。
(大丈夫。三日後には会える)
そう自分に言い聞かせて、震えが止まってくれるのを待った。