My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
10.本当の彼
次の日のことだ。
「昨日はすいませんでした!」
私はフィルくんに深々と頭を下げられた。
昨夜は窓から見える景色が暗くなってくると同時に酷い眠気がやってきて、アヴェイラが船長室に急遽用意してくれたハンモックに横になりすぐに寝入ってしまったのだ。
次に目が覚めた時にはすでに夜が明けていて、アヴェイラはいなくて、ブゥはハンモックの端にぶら下がってもう眠ってしまっていた。
そしてアヴェイラが船長室に戻って来たと思ったらフィルくんも一緒だったのだ。
彼のすぐ後ろに立っているアヴェイラと目が合うと、彼女は肩をすくめた。
「どうしてもちゃんと謝りたいってさ、あたしが言わせたわけじゃないよ」
そういう彼女はなんだか満足げに見えた。