My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「え? えっと……」
戸惑うようにこちらをちらりと見てきたフィルくんに私は頷く。
「ブゥがね、手紙を持ってきてくれたの。それで」
「ブゥさんが!?」
フィルくんが急に素っ頓狂な声を上げて今度はこちらがびっくりする。
「そ、そう。ほら、ここに」
ハンモックの端っこにぶら下がって寝ているブゥを指さすと、彼はそれを見て更に興奮したように続けた。
「ってことは、ラグさんからの手紙ですよね!?」
「うん、多分。港のマークが書いてあってね、でも私どこの港かわからなくて」
「アピアチェーレの港で間違いないです! じゃあ、そこで皆と会えるんですね! ラグさんとも!!」
「そ、そのはずなんだけど……」
本当にフィルくんはラグのことが好きなんだなぁと改めて驚いていると。
「ラグさんって誰のことだい?」
アヴェイラが不審そうに眉を寄せていて、しまったと思う。
彼女の前でラグの話はマズイ……!
「あ、その、」
「ラグさんはとっても強い術士で! とってもカッコいい人なんです!!」
フィルくんの熱弁を聞いて私は頭を抱えたくなった。