ヤマジ君の…ヒミツ★
工藤聡史の手のひらにはキャンディーが一つ乗っかっていた。


「……ぐす……ひぃっく……なにこれ? ミルキー?」


それは子供の頃によく食べた甘ったるいキャンディーだった。


「うん。さっきもらってんけどな……オレこれ苦手やねん。だからはる子ちゃん食べて?」


そう言いながら工藤聡史はミルキーの包装紙を開けた。


「はい、あーん」


あたしはまだ涙が止まらなくて、唇をギュッと一文字に結んだままだった。


工藤聡史はそんなあたしを見てクスクス笑ってる。


「ほら、開けてみって。これ食べたら元気になるから。失恋も忘れるって」


「ううっ……ほんまに?」


「うん、ほんまほんま」


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