ヤマジ君の…ヒミツ★
「んじゃ、お疲れさ――んっ」
にっこり微笑む工藤聡史を見て思わずそう思った。
ヤマジ君もさっさと帰り仕度を済ませて、あたしに手を振る。
「じゃね。バイバイ。桜木さん」
「バイバイ、ヤマジ君」
「桜田なんですけど……」というあたしのつぶやきは、ドアが閉められる音に掻き消されてしまった。
一人残された保健室。
あたしはまたもくもくと作業を続けることにした。
するとほどなくして、またドアの開く音がして、あたしは振り返った。
そこには部屋の中を覗き込むように、女子生徒が一人立っていた。