ヤマジ君の…ヒミツ★
「……誰だっけ?」
「へ?」
えええええええええ――――?
あたしは思わず座っていたイスからガタガタと転げ落ちた。
その転げっぷりといったら、桂三枝も顔負けって感じだ。
その衝撃に、お気に入りのピンクのセルフレーム眼鏡までずれてしまった。
「や……ヤマジ君、あたしのこと知らないの?」
斜めになった眼鏡を直すこともなく、床に座ったままあたしは彼を見上げる。
「うん
……ごめん。そう言えば、名前……知らないなって思って」
ううっ……。
ひどい……ひどすぎる。
あたしとヤマジ君は同じクラスで、一年間一緒に保健委員を務めた仲なのに。
それなのに、名前すら覚えてもらっていなかったなんて!