ヤマジ君の…ヒミツ★
あたしは、俯いて両手で顔を覆った。


「なっ……何やっとんねん」


頭上から工藤聡史の脱力した声が振ってきた。

彼はそのままズカズカと中に入っていく。


あたしはこれから起こるであろう惨劇を想像して、相変わらず顔を上げることすらできないでいる。


どうしよう。

どうしよう。

脚がガクガクするよ……。


男二人がヤマジ君を取り合う図。


まさに修羅場だわっ!


ああ……だめ。

でも、ちょっと興奮してきちゃったりして。


……て、バカバカお馬鹿!

こんな状況なのに、何不謹慎なこと考えてんのよ、あたし!





この危機的状況を憂いでいるあたしを知ってか知らずか、工藤聡史がポツリと呟いた。


「へぇ……隠れて何してんのかと思ったら。こんなことヤってたんかぁ……」



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