ヤマジ君の…ヒミツ★

「大釜先生……って子供いるんだ」


あたしはポツリと呟いた。


「うん、そやで。知らんかったん？」


工藤聡史の問いかけにあたしは頷いた。


「てか、結婚してるのすら知らなかった」


「だって、ゲイって噂されてるし……」とはさすがに言えなかったけど。



「ふぁああああああ」


ヤマジ君は両手を伸ばして、伸びをしていた。


「……オレ限界かも。マジで眠いし、もう帰ろっと」


そう言うと、ヤマジ君はテーブルの上のチェスボードを片付け始めた。


と、その時……。


「あれ――？　こんなとこで何やってんのぉ？」


入り口の方からこちらを覗きこんでいるのは、井川加奈子だった。