片思いー終わる日はじめる日ー
「うそじゃなーい。そこのきみ。ほら、ショートカットが寝ぐせでちょいハネてる、でっかいオメメのかわいこちゃん。出席番号1番、相田(あいだ) 有実(ゆみ)
 中井は出席簿ものぞかないで、いたずらっ子みたいな笑顔をあたしに見せた。
 おぼえられてしまった。
 あたりまえだね。
 はい。反省してます。
 やっぱり遅刻はいけません。
 とほほ。
「どぅ? 相田はどのへんで入ってきた? 自分の採点によると……」
 えええ?
 そんなこと言えないよう。
 イケズだなぁ。
 自己採点だと、ビリじゃない…と思うんだけど。
「ふふ。もしかしてアレ? この370点、相田だったりして?」
「よしてくださいよ!」
 とたんに教室のみんなが爆笑。
 あ…あ、またやっちゃった。
 声が大きいのはしようがないんだよぅ。
 そんな、笑わなくたっていいじゃないの、みんなぁ。
 みんなもうしろの席に総代に座られてごらん、あたしの気持ちがわかるって。
 こいつがビリか、なんて。
 鼻で笑われたくないでしょうよ。
 それでも370点の子には悪いことをした。
 それが恥ずかしくてうつむいてしまうあたしの耳にも届いたひと言「くそったれ」
 また石川だ。
 ガキ大将フェイスは声もそれに似あってデカイらしい。
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