片思いー終わる日はじめる日ー
「おまえら、いつまで教室にいるのよ。おらおら、オレのヌード見せるぞ」
「ばっかやろう。あははははは、石川ぁ、ははははははは」
「どうしたの、こいつ、くるった?」
 あははははははは。
 井森、サイコー。
 3人で廊下へころがり出ながら、あたしのばか笑いは井森に伝染して、大海ちゃんに伝染して。
「んもう、相田(あいだ)っち、どうしたの?」
「なになに?」「相田さんたち、声、大きーい」
 更衣室に向かう女子全員に広がっていた。
 友だちっていいなぁ。



 走ってる、走ってる。
 自慢するだけあって、チビのくせに石川ったら早いじゃん。
「相田ぁ」
 はーい、センセ。
 クマがバレー部の監督だから、バレー部員はすっかり体育助手。
「1メートルからでいいだろう。背面とびは、できるやつもなしな。おまえ、自分の番になったら、5センチきざみで勝手に上げてくれや」
「や、待ってセンセ。はさみ跳びで1メートルは、やばくない?」
「だから早く終わっていいだろ。全員落としたら幅跳びな。巻き尺持ったか?」
「やる気ある?」
「ねえよ。おまえら、ケガしそうで、こえぇんだもん」
「…………」
「…………」
 無言で肩に手を置かれて、無言でうなずいた。
 うむ。
 娘たちに必要なのは、ダンスパフォーマンスくらいだ。正解!
< 101 / 173 >

この作品をシェア

pagetop