片思いー終わる日はじめる日ー
「せ…いふくのままで、いいの、かな?」
 4人並んで校門を出ながら、やっぱり不安。
「なんでダメなの? 学割があるのに」
「…………」
 (ばく)さん。
 そういう問題じゃなくて、ですね。
「ああ。うちの制服ってカツアゲ野郎のエサなんだってから、そこ?」
「…………」
 知らなかった。
 石川はふつうにうなずいてる。
「さらに女連れだしなぁ。――ま、からまれたら有実(ゆみ)、おまえが大海を抱いて逃げろや」
「えええっ」
 3人が耳をふさぐ。
 ひどいわ。
「ねぇねぇ、かつあげやろうって、なぁに?」
「…………」「…………」「…………」
 耳たぶをつまんで頭を振る大海ちゃんに聞かれて石川が口あんぐり。
 わかる。わかるぞ。
「そ…そういえば有実、おまえなんていって部活休んできたの?」
 なるほど。
 お嬢様にはむだな知識を与えない選択ですね。御意(ぎょい)
「え?」大海ちゃんが首をかしげる。
「デートって言えばいいんじゃないの? それとも4人はデートって言わないのかしら?」
「…………」「…………」「…………」
 石川がなにかにつまずいた。
 (ばく)詰襟(つめえり)のすきまに人差し指を突っこんで地面と挨拶してる。
 笑ったのをごまかそうとしてますね、殿(との)
赤根(あかね)くんは?」
 無邪気な大海ちゃんの姫攻撃は止まらなかった。
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