片思いー終わる日はじめる日ー
「みんな、ちゃんと見たな。これが高校バレーだ。いやぁ、今年は鼻血ブーがなくて、ちっと迫力に欠けたが。あはははは」
 な…あにが、あはは、だ。
 ひとの頭をいつまでもなでまわすな、クマ。

 うわーん。
 知っていたのに。
 高校はネットが5センチ高いってこと。
 そのたった5センチで、あたしはもうスパイクが打てないってこと?
「んー? なんだぁ? 意外にへこむな、相田(あいだ)
 意外で悪かったなぁ。
 たった5センチ、たった5センチで。
 ちくしょう!
「くすっ。演技、演技。相田ちゃん、ファイターなんだからぁ。近藤センセー、だまされちゃだめですよう」
 井森ぃぃぃ。
 あたしは今、ムシのいどころが悪いんでぃ。
 どなられたくなかったら、そのブリブリ、やめなさい!
「おっ、そうか? 相田は演技派か。そりゃすまん」
 それが、すまんていう態度なの? 先生。
「ひとの頭、いつまでもグリグリなでないでください!」
 髪のセットがみだれるわっ。
「や、悪い悪い。つい、なでやすいところにあるもんで」
「どうせ、あたしは背が低いですっ!」
「かわいいぞ?」
「…………」
 返事は渾身のひとにらみ。
 あーもう。
 あーもう。
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