片思いー終わる日はじめる日ー
「うみ、うみ、うみ」
はいはい。
もういいよ、わかったよ。
「ほら、持っていきな」
「サンキューうみ。じゃね!」
やれやれ……。
「――ん?」
飛び跳ねるように廊下に出て行く井森のうしろ姿を見送っていて。
ふと気づくと赤根がまたなにか言いたそうにあたしを見ていた。
なによ。
「なんでもないやつに、名前、呼ばれたく、ない……」
はい?
井森に「バク」って呼ばれたこと?
気にいらなかったの?
「だったらそう言えばよかったじゃない」
「…………」
また、そうやって黙ってひとのことを見る。
その上目づかいは、やめて。
なんか…、いじわるしてるみたいじゃん、あたしが。
「わかった。あたしから言っとく」
ためいきだ。
結局こうなっちゃうんだ。
ひと月も同じ教室にいるとわかるけど、赤根にはコミュニケーション能力がない。
ないというか、やる気がない。
やる気がない子はおいていかれる学校で、なぜあたしが赤根の足りない言葉をおぎなう係にされているんでしょ。
それはあたしの席が赤根の前だから。
以上。考察終わり。
はいはい。
もういいよ、わかったよ。
「ほら、持っていきな」
「サンキューうみ。じゃね!」
やれやれ……。
「――ん?」
飛び跳ねるように廊下に出て行く井森のうしろ姿を見送っていて。
ふと気づくと赤根がまたなにか言いたそうにあたしを見ていた。
なによ。
「なんでもないやつに、名前、呼ばれたく、ない……」
はい?
井森に「バク」って呼ばれたこと?
気にいらなかったの?
「だったらそう言えばよかったじゃない」
「…………」
また、そうやって黙ってひとのことを見る。
その上目づかいは、やめて。
なんか…、いじわるしてるみたいじゃん、あたしが。
「わかった。あたしから言っとく」
ためいきだ。
結局こうなっちゃうんだ。
ひと月も同じ教室にいるとわかるけど、赤根にはコミュニケーション能力がない。
ないというか、やる気がない。
やる気がない子はおいていかれる学校で、なぜあたしが赤根の足りない言葉をおぎなう係にされているんでしょ。
それはあたしの席が赤根の前だから。
以上。考察終わり。