片思いー終わる日はじめる日ー
とっとっとっとっとっ
階段を駆けのぼる自分の足音に、あせっちゃうよう。
しかし、のぼっても、のぼっても、まだ階段。
い…やあ、しばらく運動してなかったから。
「キ、ツイィィ!」
あっ!
へばったあたしの横をスイッと過ぎたやつ。
しーんじられない。階段3段とばし。
ばっかやろう。
負けるもんか。
「あ。来た来た。あなただれさん? お名前は?」
靴箱の前でお姉さんが叫んでる。
「あい…あい、だ、ゆみ、ですぅ――っ」
あたしがぜーぜー息切れしているっていうのに、あたしの横を過ぎてったあいつは、もうプリントをお尻のポケットにしまって靴を上履きにはき替えている。
ぜーぜー ぜーぜー
1年生は3階だなんて、若さってやつをはきちがえてないか、高校って。
「相田 有実さん?」
「あ、よかった」
「そだね、D組の…」
ぜーぜー ぜーぜー
お姉さんたちも、お顔が真剣。
ごめんなさいぃぃ。
も、金輪際、遅刻はしないって誓いますぅぅぅ。
「はい、相田さん。もうみんな廊下に整列してるからいそいで合流して。これ、クラス名簿のプリント。あ、やだ。靴箱は出席番号順だから1番上だ。…届く?」
うっ。
どうせあたしは小さいですけど。
「だいじょぶ、ですっ」
背伸びすれば。