片思いー終わる日はじめる日ー
 あたしたち1班は男子4人、女子ふたり。
 圧倒的に女子が少ない学校にしては、女子がひとりじゃなかっただけでもありがたいことなんだけど。
 あたしにとって不幸だったのは、大海ちゃんは指の先の先、爪の色まで真っ白で、長い三つ編みを背中にたらした、おとなしい子だったってことだ。
 なんだか身体が弱いらしくて。
 そういえば最初の体育のときから見学の子いたなぁ…ってかんじで。
 初めて掃除当番をいっしょにしたとき、バケツに手を突っこんだとたん、心臓のあたりを押さえてハァハァされた日にゃアナタ。
 瞬時にあたしは彼女の下働きに決定さ。
 いいんだけどね、別に。
 ただ、ね。
「ううん、相田(あいだ)さん。わたしにやらせて。もうだいぶ水も温かいし、いつまでも相田さんに、迷惑はかけられないわ」
「…………」
 この、アイダさんてのが。どうにもコソバユイんだな。
「もうひと月以上、同じ班でやってるんだから、相田でいいよ」
「あ…あ…、アイ…、アイ、ダ?」
 うーん。
 スカートのすそをこねくりまわして真っ赤になっちゃって。
 あたしって、どうもこのての内気ちゃんに弱いのかも。
 赤根(あかね)といい、大海ちゃんといい。

「相田……、ちょっといい、かな……」
 こっそり思っていたら、そのもうひとりの内気くん、赤根がのそっとやってきた。
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