片思いー終わる日はじめる日ー
「1班、どーした、大丈夫か?」
「大丈夫でーす」
なんであたしが返事するぅ。
とほほ。
思いきりがいいというより、もはや無謀。
麦ってば。
「いいなあ、赤根は召使いがいてさ。オレもこういうの苦手なんだよなぁ。おまえ、やってくれよ、相田」
「石川ぁ、甘えんなよ」
どうしてみんな、こんなの、あたしが得意だと思うのよ。
うー、げろげろ。
――ん?
……もおぉ、なにやってんだか、このひとは。
麦はできたての標本を黙ってななめ前の大海ちゃんにつき出していて。
大海ちゃんは、ノートにうつむいているから全然気がつかなくて。
あたしはときどき、こんなふうに麦が不思議でたまらない。
「……赤根ぇ、声かけなさいよ、そういうときは。ねえとか、ほらっ、とか。どうしてそんな簡単なことも省略するのよ、きみは」
「気づいたんだったら、相田がそう…してよ」
ほーらきた。
6人がけの実験台はいつもの、あたし・麦・石川・伊勢・内山・大海のメンバーなのに。
あたしなんかは、たったの1カ月ちょいで、すっかりクサレ縁ってかんじなのに。
いまだに麦は、どうもいまいち、みんなになじめないらしくって。
授業中はさすがのあたしも先生に指されると、ドギマギしちゃって、けっこうしどろもどろになったりするけど。
麦は、そういうときは堂々としているくせに、友だちにはいいかげんにしなさいよ…っていうくらい人見知り。
『どっか、おかしいんじゃないの?』って責めても唇がとんがるだけ。
「大丈夫でーす」
なんであたしが返事するぅ。
とほほ。
思いきりがいいというより、もはや無謀。
麦ってば。
「いいなあ、赤根は召使いがいてさ。オレもこういうの苦手なんだよなぁ。おまえ、やってくれよ、相田」
「石川ぁ、甘えんなよ」
どうしてみんな、こんなの、あたしが得意だと思うのよ。
うー、げろげろ。
――ん?
……もおぉ、なにやってんだか、このひとは。
麦はできたての標本を黙ってななめ前の大海ちゃんにつき出していて。
大海ちゃんは、ノートにうつむいているから全然気がつかなくて。
あたしはときどき、こんなふうに麦が不思議でたまらない。
「……赤根ぇ、声かけなさいよ、そういうときは。ねえとか、ほらっ、とか。どうしてそんな簡単なことも省略するのよ、きみは」
「気づいたんだったら、相田がそう…してよ」
ほーらきた。
6人がけの実験台はいつもの、あたし・麦・石川・伊勢・内山・大海のメンバーなのに。
あたしなんかは、たったの1カ月ちょいで、すっかりクサレ縁ってかんじなのに。
いまだに麦は、どうもいまいち、みんなになじめないらしくって。
授業中はさすがのあたしも先生に指されると、ドギマギしちゃって、けっこうしどろもどろになったりするけど。
麦は、そういうときは堂々としているくせに、友だちにはいいかげんにしなさいよ…っていうくらい人見知り。
『どっか、おかしいんじゃないの?』って責めても唇がとんがるだけ。