片思いー終わる日はじめる日ー
「相田……。おまえ、かっこ悪いぞ。やったらいいじゃないか。やれよ、バレー。好きなんだろ? 最初のとき着てたじゃないか、バレー部のユニフォーム。……スパイクが打てなくたってボール拾えよ。トスしてやれよ。それだってバレーだろっ」
麦の声が視聴覚室にわんわん反響して、あたしの耳に染みてくる。
大海ちゃんや石川が聞き耳をたてているのは意識の底にあったけど。
心にあったことを、ずばっずばっと言い当てられて。
吸いこんだ息が肺で止まって。
はきだすように言葉がドーッとあふれてきた。
「だ…れに、聞いた? だれに聞いたの? 中井? 大海ちゃん? ――なによ、ちょっともてると思ってうぬぼれないでよっ。あたしはきみなんか大きらいなんだから」
「なんの話だよ! …おれはずっと見てたんだぞ。ひとりだけちゃんとスポーツするかっこしてたから。女のなかでおまえだけ、ちゃんとしてたから! ――おれだって、今のおまえなんかきらいだ! まるで……、まるで…ふつうの女みたいじゃないか!」