片思いー終わる日はじめる日ー
 ふつう。
 ふつうってなによ。
 ふつうじゃないって、なによ!
「あたしはふつうの女だよ! ふつうに恥かきたくないし! ふつうにやきもちだって妬く! な…んだと思ってたのよっ。あたしのこと……なんだと思ってたのよ!」

麦ガ、アタシヲ、見テテ、クレタ?

「おまえだけはちがうと思ってたよ。おまえは…好きだって! 好きなものは好きだって! ちゃんとわかってるやつだと思ってた! 顔中に好きだって書いて! どんどんひとの心のなかに食いこんでいくんだと思ってた!」
「…………」
 だったら……。
 だったら、わかるでしょ。

 あなたを好きだって!
 わかってるでしょ?

「結局、つまんないやつだったんだ、おまえも。…おまえのプライドなんか、くだらないよ! おまえの心配なんかして、時間のむだだったぜ」
「…………」
 もう止まらなかった。
 涙も言葉も。
 心も。
「き…みなんか、だいっきらい。だいっきら…い。だ…いっきら……」

 好きなのよぅ。

 麦がどんどん背中を向けて遠くなる今ごろわかったって。
 きらいだって言われた、今ごろわかったって……。
 もう遅いのに。
 
< 70 / 173 >

この作品をシェア

pagetop