片思いー終わる日はじめる日ー
「なぁ赤根、最近こいつ、おまえより食うよなぁ」
「さぁ……」
かたん、と立ち上がる気配。
「赤根! おーい」
石川はひとりがんばって、なにもなかったふりをしようとしてる。
でも。
麦はあれからだれにも心を開かない。
麦は、ひとりだ。
そんな麦は見たくない。
あたしがいなくなればいいの?
そんなにあたしがきらいなの?
わざわざうしろのドアから出ていくんだね。
「相田ちゃん、まだ仲直りできないの? 赤根くん…と」
「さぁ……? 向こうにはないんじゃないかな。そんな気」
「わたし、赤根くんを見そこなってたわ」
「大海ちゃん」
やめて。
そんなふうに、なぐさめるのはやめてよ。
お願い。
「オレは、わかるけど――…」
石川?
「オレはあいつの気持ちわかるけど」石川がコンと麦の机の脚を蹴る。
「あいつがバカなんだから! オレは遠慮しねえよ」
あたしと大海ちゃんは全然、石川の言葉の意味がわからなくて。
ただ、同じように首をかしげて石川の次の言葉を待ってみた。
「うぉぉぉぉ!」ゴリラみたいな石川の雄たけびに、ふたりで耳をふさぐ。
「おい。早くメシ食っちゃえよ、相田。次の美術、オレたち外に出るんだ。作戦会議しようぜ」
作戦会議ってなによ。
…というか問題ワードは――
「外?」