片思いー終わる日はじめる日ー
* * *
「根性だ! お前たちが、だれにも負けないものは根性だ! ねばりだ! 拾って、拾って、拾いまくれ!」
「ハイッ!」
あたしたちは、相手チームの高い壁に苦しめられながら、どうにかフルセットの戦いにもつれこんでいる。
「相手はお前たちと同じ高校生なんだぞ。ちっとくらいデカイからってビビるな!」
「ハイッ!」
「安心しろ、今は不利かもしれんが、お前たちのほうが10倍結婚相手には恵まれる」
「はあぁ?」
3年生のいない進学校の地区予選は2回戦突破がもう崖っぷち。
人数がいないから、あたしなんかでもレギュラーに抜擢されて。
背の低いあたしにもできることをクマは真剣に教えてくれる。
でも今はまだそれをコートで実践できる感激なんてちっともない。
ただただ恐ろしいだけの公式試合。
「よし! まずはサーブブレイクだ。本当に大丈夫なんだな、相田」
「はい!」
「よし。もし傷が残ったら、オレが嫁にもらってやる。心置きなくあばれてこい!」
あっはっは。
なんだかなぁ。
でも緊張は解けた。
ありがとね、センセ。