笑顔のそばに
今、自分がどんな顔してるかなんて分からない。
『俺は、いいよ。』
『なら付き合っちゃいますかー』
『おーう』
…この流れでも、嬉しいと感じてしまう俺がいる。
俺から告白しようと思ってたのに…
いや、麗華にとっては告白でもなんでもないかもしれないけど…
それでも付き合える…
『将斗くんがOKなら私はいいんです。』
…なんて可愛いことを言ってくれるんだ。
この子のどこがロボットなんだろう。
こんなに感情豊かなのに。
この子のどこか無表情なんだろう。
確かに普段は無表情だけどよく見たらちゃんとあるのに。
『将斗くんが優しすぎて惚れそう』
『いいよ。笑』
麗華が惚れてくれるなんて、嬉しすぎる。
優しくて惚れてくれるならどれだけでも優しくする。
…ずっと、大事にする。
こんな形で始まる恋も、ありかもしれない。
【堀江将斗side END】

【松原麗華side】
…将斗くん優しすぎない?
同情だと思うけど…
本当に惚れてしまいそうだ。
振られたことなんて忘れちゃうくらい。
将斗くんと会っているとそれくらい楽しくてずっと一緒にいたいって気持ちになってしまう。
…あれ、好きだった人にはそんなこと思わなかったんだけど…
そこまで好きじゃなかったってことなのかな?
「…ほんとに、好きになったらどうしよう…」
『お酒飲みすぎないようにね』
…そうだね。
そろそろやけ酒タイムもお開きだ。
ープルル…
電話?
「もしもし」
『麗華?久しぶり』
…誰だっけ。
まともに相手を確認せず出てしまったから…
「…えー…」
『私だよ。川森、川森百合香。』
百合香…
「あっ、久しぶり」
『忘れてたでしょ。』
「ごめん。」
何しろ久しぶりだもんなあ。
川森百合香。
大学時代の私の友達。
将斗くんに話してた時に出てきたカラオケ仲間。
「どしたの。」
『聞いてよー』
百合香から電話なんて珍しすぎて私は思わず再びお酒に手をつけてしまった。
内容は大学時代の友人、私の友人でもある平井美咲について。
何でも最近仕事終わりにご飯を食べに行ったものの、愚痴ばかり聞かされていたらしい。
『仕事終わりでクタクタなのにさー、見事に私の話も聞かずに自分のことだけ話して解散だよ?ありえなく無い?』
…元々そういう子だからなあ…
「百合香はなんにも話してない感じ?」
『そうなんだよっ!なんにも聞いてくれなくて自分の分だけ話してスッキリしたのか解散だよ?!』
美咲は自分勝手だからなあ〜…
私と話してる時も殆ど上の空でまともに話をしたことがない気がする。
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