笑顔のそばに
将斗くんが着替えを洗濯カゴにいれたのを確認して私はリビングに戻る。
何となく、私の心が落ち着かないのは気の所為だろう…
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
立派なお風呂だなあ…
一般的なお風呂より若干大きいお風呂。
手足を伸ばしてもまだ余裕がある。
麗華や、その家族が毎日ここで…
いいなあこのお風呂。
俺も将来はこんなお風呂にするぞ。

「ー…お風呂ありがとうございましたー!」
リビングに戻り何となく、周りを見渡す。
麗華はソファで携帯を眺めて寛いでいた。
「ん、おかえり。」
「気持ちよかった。」
「それは良かった。」
入浴剤でも使ってたのかな?
それくらい気持ちよかった。
「部屋戻るけど、来る?」
「いいの?」
「うん。
あ、でも流華が呼んでた。」
そういえばご飯の前に来てくれって言われてたうな。
「部屋まで案内するよ。」
麗華に続いて階段へ。
2階に上がって麗華の部屋を通り過ぎ、隣の部屋へ。
ーコンコン…
「ん?お姉ちゃん?」
「そう、将斗くん連れてきた。」
「入って入ってー」
ドア越しに流華さんと会話すると麗華はこちらに向き直る。
「じゃ、部屋にいるから。」
「うん、わかった。」
麗華は俺の前を通り過ぎて自分の部屋の中へ。
扉が閉じられたのを確認して俺は流華さんの部屋に入る。
「…失礼します〜…」
麗華とは違う感じのお部屋。
麗華の部屋はどちらかと言うとシンプルで少し暗めの部屋。
流華さんの部屋は明るくて女の子らしい部屋。
あまり違いはないんだろうけど何となく違う。
「どうぞー。」
流華さんは机で勉強でもしていたのかノートが広げられていた。
俺は何となくカーペットの敷かれた場所に正座する。
正座した俺を見て流華さんは驚いた顔。
「…楽にしていいですよ?
呼んだのは私ですし。」
麗華と違うように見えてよく見たら目元がそっくり。
それにこの優しさは本物だ。
「話というのはわかりきってると思います。
お姉ちゃんのことです。」
「麗華、の…?」
「ええ。」
流華さんは立ち上がって本棚から1冊のアルバムを取り出す。
「お姉ちゃんの、闘病生活が分かるはずです。」
アルバムを受け取り、ページをめくる。
産まれたてのようだ。
普通の新生児とは違い呼吸器をつけられ管も沢山。
何より、弱体として産まれてきたのか、とても小さかった。
「…」
次々とページをめくっていく。
ずっと、病院にいる写真しかない。
< 27 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop