笑顔のそばに
運ばれてきた料理を見て奥からフラフラ戻ってくる麗華を発見。
麗華の傍に行って倒れてもいいように横を歩く。
「…ありがと」
「いいんだよ。」
倒れることなく席に戻ってきた麗華。
さっきより顔が青くなってる。
誰かに聞かなくてもわかる。
これ完全なる発作状態だ。
「大丈夫?」
「…うん」
答えるのもだいぶしんどそうだ。
これは、かなり…まずいんじゃないか…?
「将斗くんゆっくり食べて大丈夫だからね」
真っ青な顔で笑顔を作る麗華。
しんどくて仕方ないだろう。
麗華の気持ちをわかってるくせに一緒にいたくてゆっくり食べてしまう俺は…とんでもない迷惑野郎だ。
ー…ブブブ…
仕事だったからマナーにしてあったんだろう。
麗華の携帯が鳴る。
「…ごめん、出てもいい?」
「いいよ。」
「ごめんね…」
カバンからメモとペンを取り出して電話に出る麗華。
「…Hello?」
…英語?
そういえば事業展開で外国進出するって言ってたな…
「… In that case…」
…何言ってっかわかんねえ…
メモを見て少し顔を顰める麗華。
「…I will tell you…
see you again…」
…麗華の英語ペラペラ過ぎんか…
しかも普通に英語で会話とか…
頭のレベルが違うわ…
「…ごめん、電話…
…?どうしたの?」
「いや、なんでもない…」
改めて麗華の頭のレベルがすごいんだなあって…
俺の前では普通の女の子でも社会人としての麗華はまるで違う…
麗華なのに麗華じゃないみたいだ。
「…まあ、英検持ってるからね。」
「1級だっけ?」
「うん。漢検もね。」
…めっちゃ勉強したんだろうなあ〜…
「…ご馳走さまでした」
「よし、どっか行きたいなら行くよ。」
「いや、今日は帰るよ。」
「なんか用事あった?」
「麗華がしんどいだろ。」
麗華の顔が固まる。
図星だったんだろう。
「…そ、だね。うん。しんどい…」
「だから、帰るよ。」
「わかった。だったらお会計して帰ろうか。」
…本当は電車でもいいんだけど、少しでも長くそばにいたい。
「…家まで、送るよ。」
そして優しい麗華は無理してでも笑顔でこういってくれる。
…少し、話したいこともあるし、ね…
ずっと言おうと思ってて言えてなかったことを…
「…じゃあ、家向かうね。」
「お願いします」
スーツの上着を脱いでシャツのボタンを外す麗華。
運転するのに苦しいから、だろう…
だけどなんて言うか…ちょっと…エロい…
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