笑顔のそばに
「…」
車内は音楽もなくかなり静か。
対向する車のライトで麗華の横顔が浮かぶ。
…やっぱり青い顔…
「…あの、麗華…」
「…ん?」
「俺さ…」
「うん」
言ったら不安にさせてしまうかもしれない…
けど、言わないと…
「…俺、4月から東京…行くんだ…」
【堀江将斗side END】
【松原麗華side】
…4月から…?
「あ、えっと…ずっとじゃなくて…」
…よくある新人研修のことかな?
新人研修なら私も行った覚えある。
「…配属先が東京にならなければ…
8月の麗華の誕生日までに帰ってくる。」
配属先は会社次第だからなあ…
「配属先がどうなるかは分からないけど希望はこっちで出してある…」
「…そっか…」
「配属先が東京だったら…麗華の誕生日、祝えない…」
運だからなあ…
私の配属先は一応希望通りだけど本来なら本社出勤だったもんなあ…
「帰ってきたら…」
「その続きは帰ってきてから、ね?」
運転しながら将斗くんの言葉を遮る。
聞きたくないわけじゃない。
…いや、聞きたくないだけか。
私は未来の話を仮定して話されるのが嫌いなだけだ…
『もし』や『将来』とか。
絶対に守れる約束じゃないでしょ?
何度騙されてきたか。
将斗くんだから、信じるとかそういうのは一切ない。
将斗くんのことは信頼してるしちゃんと信じてる。
けど、未来のことなんて誰にも分からないじゃん。
「…帰ってくるから、待ってて。」
…やめて。
帰ってくるって言いながら帰ってこなかった人、知ってるから。
大好きで信用してて『帰ってくるから待ってて』って言って亡くなった人。
…発作状態の時に彼のこと思い出させないで。
…過呼吸出そう…
「麗華?」
「…や…めて…」
まずい、過呼吸出てきた…
将斗くんの家の近くのコンビニに入る。
車から飛び降りて蹲る。
将斗くんも慌てて出てきて私の背中をトントンしてくれてる。
頭は冷静なのになかなか止まらない過呼吸。
「ハッ、ハッ、ハッ…」
「麗華、落ち着いて、ゆっくり呼吸しよう。」
まさか今、彼のことを思い出すなんて思ってなかった。
私の初恋の人。
「…た、…くや…」
思い出したくない…
拓哉のこと。
過呼吸が出るといつも思い出してしまう。
思い出したくないのに…
思い出したくない、大切だった人。
「…や、だっ…」
「俺、なにか温かいもの買ってくるよ!」
「…い、かないで…やだ…っ」
行かないで、そばにいて…
1人に、しないで…
「拓哉…いかないで…っ」
発作状態だからか。
目の前にいるのは将斗くんなのに口から出るのは大好きな拓哉の名前。
私の初恋で、特別に想ってた人。
本当に大切に思ってて大切にしてくれてた、特別な人。
車内は音楽もなくかなり静か。
対向する車のライトで麗華の横顔が浮かぶ。
…やっぱり青い顔…
「…あの、麗華…」
「…ん?」
「俺さ…」
「うん」
言ったら不安にさせてしまうかもしれない…
けど、言わないと…
「…俺、4月から東京…行くんだ…」
【堀江将斗side END】
【松原麗華side】
…4月から…?
「あ、えっと…ずっとじゃなくて…」
…よくある新人研修のことかな?
新人研修なら私も行った覚えある。
「…配属先が東京にならなければ…
8月の麗華の誕生日までに帰ってくる。」
配属先は会社次第だからなあ…
「配属先がどうなるかは分からないけど希望はこっちで出してある…」
「…そっか…」
「配属先が東京だったら…麗華の誕生日、祝えない…」
運だからなあ…
私の配属先は一応希望通りだけど本来なら本社出勤だったもんなあ…
「帰ってきたら…」
「その続きは帰ってきてから、ね?」
運転しながら将斗くんの言葉を遮る。
聞きたくないわけじゃない。
…いや、聞きたくないだけか。
私は未来の話を仮定して話されるのが嫌いなだけだ…
『もし』や『将来』とか。
絶対に守れる約束じゃないでしょ?
何度騙されてきたか。
将斗くんだから、信じるとかそういうのは一切ない。
将斗くんのことは信頼してるしちゃんと信じてる。
けど、未来のことなんて誰にも分からないじゃん。
「…帰ってくるから、待ってて。」
…やめて。
帰ってくるって言いながら帰ってこなかった人、知ってるから。
大好きで信用してて『帰ってくるから待ってて』って言って亡くなった人。
…発作状態の時に彼のこと思い出させないで。
…過呼吸出そう…
「麗華?」
「…や…めて…」
まずい、過呼吸出てきた…
将斗くんの家の近くのコンビニに入る。
車から飛び降りて蹲る。
将斗くんも慌てて出てきて私の背中をトントンしてくれてる。
頭は冷静なのになかなか止まらない過呼吸。
「ハッ、ハッ、ハッ…」
「麗華、落ち着いて、ゆっくり呼吸しよう。」
まさか今、彼のことを思い出すなんて思ってなかった。
私の初恋の人。
「…た、…くや…」
思い出したくない…
拓哉のこと。
過呼吸が出るといつも思い出してしまう。
思い出したくないのに…
思い出したくない、大切だった人。
「…や、だっ…」
「俺、なにか温かいもの買ってくるよ!」
「…い、かないで…やだ…っ」
行かないで、そばにいて…
1人に、しないで…
「拓哉…いかないで…っ」
発作状態だからか。
目の前にいるのは将斗くんなのに口から出るのは大好きな拓哉の名前。
私の初恋で、特別に想ってた人。
本当に大切に思ってて大切にしてくれてた、特別な人。